はじめに
「ケアマネジャーってどんな仕事?」
介護や福祉に詳しくない方にとっては、少しとっつきにくい存在かもしれません。この記事では、現役ケアマネジャーの私が利用したことのない人でもケアマネの仕事をわかりやすく5つの視点から解説します。介護のことを知る入り口として、ぜひ最後までご覧ください。
ケアマネジャーは「介護サービスの案内人」
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護を必要とする方と、必要なサービスをつなぐコーディネーターです。
主な役割

- 介護保険の新規申請・更新申請・区分変更申請のサポート
- 新規申請: 介護保険の利用を希望する方に対し、新規申請の手続きをサポートします。申請に必要な書類の準備、申請方法の説明、申請代行などを行います。
- 更新申請: 介護保険の認定期間が満了する方に対し、更新申請の手続きをサポートします。認定状況の変化や希望などを考慮し、適切な更新申請が行えるよう支援します。
- 区分変更申請: 介護度が変化した場合や、サービス内容の変更を希望する場合に、区分変更申請の手続きをサポートします。状況の変化を把握し、適切な区分変更申請が行えるよう支援します。
- 利用者や家族のヒアリング(インテーク・アセスメント面接)
- アセスメント: 利用者や家族に対し、生活状況、健康状態、介護に関するニーズなどを詳しくヒアリングします。
- 情報収集: 医療機関、関係機関などから必要な情報を収集し、利用者の状況を総合的に把握します。
- 課題分析: アセスメントの結果に基づき、利用者の抱える課題を分析し、解決すべき優先順位を明確にします。
- 適切な介護保険サービスを選び、利用者へ提案
- サービス選定: アセスメント結果と利用者の希望に基づき、適切な介護保険サービスを選定します。
- 情報提供: 利用可能なサービスの種類、内容、費用などについて、利用者や家族に分かりやすく説明します。
- 連携調整: サービス提供事業者との連携を図り、利用者がスムーズにサービスを利用できるよう調整します。
- 生活全体を支えるサービス計画書(ケアプラン)の作成
- 計画作成: アセスメント結果、利用者の希望、選定したサービスに基づき、生活全体を支えるサービス計画書を作成します。
- 目標設定: 利用者の自立支援を促進するため、具体的な目標を設定します。
- モニタリング: サービス提供状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて計画の見直しを行います
特に介護が初めての方にとって、制度の仕組みはとても複雑です。
その中で、ケアマネは最初の相談相手として、大きな役割を担っています。
サービス計画書(介護の設計図)を作成する
ケアマネジャーの中心的な仕事は「サービス計画書の作成」です。
利用者が自立して生活できるように支援する「生活の設計図」です。
サービス計画書作成の流れ

- 本人・家族への聞き取り(アセスメント)
- ケアプラン作成の根幹をなす、最も重要な初期プロセスです。ご本人様の心身の状態や生活環境といった客観的な情報に加え、「今後どのような生活を送りたいか」というご意向や価値観を深く掘り下げて聞き取ります。これは単なるヒアリングではなく、専門的視点から課題を分析・抽出し、支援の方向性を定めるための「要件定義」にあたります。
- 必要な介護保険サービスの選定とそのサービス事業者との調整
- アセスメントで明確になった課題と目標に基づき、最適な介護サービスをパズルのように組み合わせていきます。訪問介護やデイサービスといった多種多様な社会資源の中から、ご本人様の目標達成に最も効果的なサービスを選定。その後、各サービスの専門家である事業者と「サービス担当者会議」を開き、チームとして最善の支援体制を構築する「システム設計」の段階です。
- 市区町村との情報共有・連携(居宅登録申請)
- 作成したケアプランは、介護保険制度という公的な仕組みの中で実行されるものです。そのため、保険者である市区町村に対し「このご利用者様のケアプランを当事業所が担当します」という届け出(居宅サービス計画作成依頼届出書)を提出します。この行政手続きを経て初めて計画が正式に承認され保険給付を受けながらサービスを利用することが可能になります。
- 月ごとの見直し(モニタリング)
- ケアプランは「作って終わり」の計画書ではありません。最低でも月に一度はご自宅等を訪問し、計画通りにサービスが提供されているか、ご本人様の状態に変化はないか、目標の達成度はどうかなどを確認します。この定点観測(モニタリング)により、常に計画を最適化し続けるPDCAサイクルを回していく、いわばシステムの「運用・保守」フェーズです。
サービス事業者との橋渡し
ケアマネは、さまざまな介護サービス提供者と連携して、必要な支援を調整します。
関わることの多い事業者

- 訪問介護…利用者の居宅における生活援助や身体介護に関するサービスで関わる事が多い。
- 訪問看護…利用者の医療ニーズに関する情報共有。医療処置や健康状態の把握、医師との連携。関わる事が多い。
- デイサービス…利用者の日中の活動状況や健康状態に関する情報共有。送迎時の情報伝達や個別機能訓練の連携をしてくれる。関わる事が多い。
- 福祉用具貸与事業所…利用者の身体状況に合わせた福祉用具の選定や使用状況に関する情報共有。住宅改修の検討。関わる事が多い。
- ショートステイ…同居の家族が何らかの理由で利用者の面倒を見れない時に利用する。
- 他に…市役所や施設職員や医療職、包括支援センター
モニタリングで状態を確認
ケアプランは作って終わりではありません。
利用者の状況が変わっていないか、毎月1回以上訪問して確認(モニタリング)を行います。
モニタリングのチェックポイント
- 体調や生活に変化はないか
- サービスの利用状況は適切か
- 新たな困りごとは出ていないか
- 家族や関係者からの意見はあるか
【その人らしい生活】を支える専門職
ケアマネの仕事は、単なる「調整業務」ではありません。
その人の“らしさ”を大切にした生活支援を行う、対人援助職でもあります。
ケアマネの本質
- 利用者の希望ややりたい事を支える
- 家族と一緒に悩みを共有する
- 他職種と連携し、最適な支援をコーディネートする
- 状況の変化に柔軟に対応し続ける
「介護保険サービスを利用する時、最初に出会った福祉の専門職がケアマネだった」という方も多く、信頼関係の構築がとても重要な仕事です。
まとめ
ケアマネジャーは、介護保険制度と現場をつなぐ「橋渡し役」であり、利用者の暮らしを守る支援者でもあります。
現場では、スマホやITツールを活用しながら、効率化と丁寧な支援のバランスを取ることが求められています。
あわせて読みたい記事(内部リンク)
- 【初心者向け】ケアプランって何?5分でわかる基本構造
- 【スマホだけで完結】ケアマネのための音声入力活用術
- 【現役が語る】ケアマネのリアルな1日の仕事とは?
おすすめガジェット紹介(アフィリエイト向け)
※以下は広告リンクを貼る想定です。
- 【最新版】iPhone SE・iPhone 15比較と業務での活用法
- 【2025年版】おすすめモバイルWi-Fiルーター3選
- 【折りたたみ式】外出先でも便利なBluetoothキーボード
最後に(フッター)
本記事は、現場で実際に働くケアマネジャーの視点で思ったことや業務効率化の為にどうしたらいいのかを記載しています。
「介護の世界って難しそう…」「ケアマネ業務が大変…」と感じる方に、少しでも親しみや業務効率改善につながっていただけたら嬉しいです。
コメント