はじめに
ケアマネジャーの皆さん、毎日のお仕事、本当にお疲れ様です。利用者さんやご家族との大切な時間、そして山のような事務作業…。特に、日々の記録業務に追われて、「自分の時間が全然とれない」「もっと効率よく仕事ができたら…」と感じている方も多いのではないでしょうか。
「便利なITツールがあるのは知っているけれど、覚えるのが大変そう」「パソコンやスマホの操作はあまり得意じゃなくて…」そんなふうに、IT活用に少し苦手意識を感じているかもしれません。
でも、ご安心ください。この記事では、新しく難しいアプリをインストールしたり、高価な機材を導入したりする必要は一切ありません。あなたがいつもお使いのスマートフォンに、おそらく標準で入っている「音声入力」の機能と、ダウンロードする「Googleカレンダー」を使うだけで、驚くほど簡単に日々の業務を効率化できる具体的な方法をご紹介します。
この記事を読み終える頃には、「これなら自分にもできそう!」「早速、明日の訪問から試してみよう!」と思っていただけるはずです。一緒に、スマートな業務効率化の一歩を踏み出してみましょう!
なぜ、今ケアマネジャーにGoogleカレンダーと音声入力なのか?
手書きやPCでの手入力ももちろん一つの方法ですが、「記録業務に30分かかっていた」というようなお話も珍しくありません。もし、その時間がわずか5分程度に短縮されるとしたらどうでしょうか?
今回ご紹介する「Googleカレンダー」と「音声入力」の組み合わせは、まさにそれを可能にする、非常に強力でありながら驚くほど身近な手段です。これは特別なITスキルを必要としません。業務効率を劇的に改善し、利用者様と向き合う大切な時間をより多く確保するために、使わない手はないと言えるでしょう。
「記録は事務所で」はもう古い!スキマ時間を活用できる理由
この手法の最大の利点は、「記憶が最も新鮮なうちに記録を残せる」ことにあります。事務所に戻ってから「ええと、あの時どんなお話をされたかな…」と思い出す作業は、想像以上に時間と労力がかかるものです。
音声入力を使えば、例えば訪問を終えた直後の車内や、一人になれる移動中のタイミングで、話すだけで記録の骨子を作成できてしまいます。もちろん、個人情報の保護は最優先です。周りに人がいない状況は絶対条件ですが、プライバシーが確保された環境であれば、そこがあなたのオフィスになります。
多少の誤字脱字は気にする必要はありません。目的は、後からご自身が見返したときに内容を正確に思い出せる「一次メモ」を残すことです。この「声のメモ」があるだけで、事務所に戻ってからの清書作業が驚くほどスムーズになります。
PCが苦手でも大丈夫!スマホ1つで始められる手軽さ
「新しいITツールを覚えるのはどうも苦手で…」と感じている方も、どうかご安心ください。高価な専用ソフトや特別な機器は一切不要です。必要なのは、おそらく皆様が会社から支給されている、もしくは個人でお持ちのスマートフォン、たった1つです。
今や私たちの生活に欠かせないスマートフォンですが、その使い方を少し工夫するだけで、日々の業務を支える最強のパートナーに変わります。この記事では、クリックやタップといった基本的な操作だけで実践できる方法だけをご紹介しますので、気負わずに読み進めてみてください。
実は多機能!スケジュール管理だけじゃないGoogleカレンダーの底力
「Googleカレンダーは単なるスケジュール帳でしょ?」と思われているとしたら、非常にもったいないかもしれません。Googleカレンダーの真価は、その共有機能と連携力にあります。
スマートフォンで音声入力した記録メモは、同じGoogleアカウントでログインすれば、事務所のPCからでも即座に確認できます。つまり、スマホで作成した「声のメモ」を、事務所のPCで開いている介護ソフトの記録欄にコピー&ペーストするだけで、転記作業が完了するのです。スマホとPC、2つのデバイスがシームレスに繋がり、記録業務の手間を大幅に削減してくれます。
【ステップ1】Googleカレンダーで訪問・タスク管理を「見える化」しよう
スケジュール管理はケアマネジャー業務の根幹です。Googleカレンダーを活用することで、単に予定を記録するだけでなく、業務全体を「見える化」し、ミスを防ぎ、さらには記録の検索まで効率化できます。
例えば、利用者様宅で次回の訪問日を決めたその場でGoogleカレンダーに入力すれば、予定のダブルブッキングは劇的に減少します。さらに便利なのが検索機能です。「あの利用者様の、前回の担当者会議はいつだったかな?」と思ったとき、利用者様のお名前で検索するだけで、関連する過去の予定やメモが一瞬で表示されます。これは、まるで利用者様ごとの記録ファイルをめくるような感覚で、迅速な振り返りを可能にしてくれます。
基本のキ!Googleカレンダーをスマホに入れてみよう
まずは、お使いのスマートフォンにアプリを入れましょう。操作はとても簡単です。
- iPhoneをお使いなら「App Store」、Androidのスマホなら「Google Play ストア」を開きます。
- 検索窓に「Googleカレンダー」と入力し、表示されたアプリをダウンロード(インストール)します。
- アプリを開き、画面の案内に沿ってGoogleアカウントでログインします。仕事用のGoogleアカウントをお持ちの場合は、そちらを使用してください。
- ※IDやパスワードは忘れないように管理することが大切です。紙に書き留めておく、あるいは会社のルールに則った上で、支給されたスマホのパスワード管理機能などに記録しておきましょう。ご自身が最も管理しやすい方法を選んでください。
色分けがカギ!「訪問」「記録」「私用」で予定を分けて管理するテクニック
Googleカレンダーは、予定ごとに色を設定できます。この機能を活用しない手はありません。パッと見ただけで何の予定か判断できるよう、ご自身の業務に合わせてルールを決めてみましょう。
(例)
- 青色: モニタリング訪問
- 赤色: 担当者会議
- 緑色: 病院や他事業所との連携
- 黄色: 研修・勉強会
- 紫色: 私用の予定
このように色分けするだけで、1ヶ月のスケジュールが格段に見やすくなります。また、予定のタイトルには**「【モニタリング】〇〇様」**のように、必ず利用者様のお名前を入れるようにしましょう。これが後々の検索で非常に役立ちます。
「うっかり忘れ」を防止!便利なリマインダー機能の活用法
訪問のような「決まった日時の予定」とは別に、「〇〇さんに電話する」「□□の書類を明日までに郵送する」といった、突発的なタスクも日々発生しますよね。これまでは付箋に書いてデスクに貼っていた、という方も多いかもしれません。こうした細かなタスク管理には、スマートフォンに標準で入っているリマインダーアプリが大変便利です。
- iPhoneの場合: 「リマインダー」という名称のアプリ
- Androidの場合: 「Google ToDoリスト」などのアプリ
カレンダーの予定と、こうした「やることリスト」を使い分けることで、業務の抜け漏れを効果的に防ぐことができます。(※リマインダーアプリの詳しい使い方は、また別の記事で詳しくご紹介しますね!)
【ステップ2】音声入力で「話すだけ」記録作成!移動時間や訪問直後がチャンス
ご存知の通り、記録は「鮮度」が命です。時間が経てば経つほど、記憶は曖昧になり、思い出す作業そのものが大きな負担となります。だからこそ、訪問直後の記憶がホットなうちに、声でメモを残す習慣が効果を発揮します。
最もおすすめのタイミングは、車移動であれば車に乗った瞬間です。安全な場所に停車し、Googleカレンダーの予定を開いて、今日話したこと、観察できたご様子などを音声で一気に入力してしまいます。事務所に戻ってから記録を振り返る際も、このメモがあるかないかで作業効率は雲泥の差です。音声で吹き込んだメモを、最終的に介護ソフトの支援経過にコピー&ペーストする。この流れを習慣化して、どんどん活用していきましょう。
え、こんなに簡単なの?スマホでの音声入力の基本的な使い方
音声入力の使い方は、驚くほど簡単です。特別な設定はほとんど必要ありません。
- Googleカレンダーの予定詳細画面など、文字が入力できる場所を開きます。
- キーボードが表示されたら、その中にあるマイクのマークを探してタップします。
- あとはスマートフォンに向かって話すだけ。あなたが話した言葉が、リアルタイムでテキストに変換されていきます。
本当にこれだけです。機種による細かい違いはありますが、基本的な操作は同じです。ぜひ一度、試してみてください。
訪問直後の車の中がベストタイミング!記憶が新しいうちにメモを残す
記憶を思い出すという作業は、それ自体が業務時間を圧迫する一因です。これを避けるため、「記録の一次メモは、記憶が新しいうちに完成させる」というルールをご自身の中で作ってみましょう。
- 午前中の訪問分は、お昼休み中に音声入力でメモを完成させる。
- 午後の訪問分は、夕方に事務所へ戻るまでに済ませておく。
この習慣をつけるだけで、事務所に戻ってからは「清書(コピー&ペーストと微修正)」のみに集中できます。精神的な負担も軽くなり、定時で業務を終えられる日が増えるはずです。
音声入力の精度を上げるちょっとしたコツ
音声入力の認識精度は年々向上していますが、少しのコツでさらに快適に使うことができます。
- マイクに近づけて話す: スマートフォンのマイク部分(通常は本体下部にあります)に、少し近づいて話すように意識します。
- ハキハキと、少しゆっくり話す: アナウンサーのように話す必要はありませんが、普段より少しだけ滑舌を意識し、気持ちゆっくりめに話すと、誤認識がぐっと減ります。
最初はうまく変換されない部分もあるかもしれませんが、大丈夫です。まずは音声で一気に入力してしまい、後から介護ソフトに貼り付けた際に、句読点を打ったり、漢字を修正したりと、読みやすいように体裁を整えるだけで、質の高い記録が短時間で完成します。
【実践編】合わせ技で最強に!具体的な活用シーンを見てみよう
利用者さん宅からの帰り道 – 車内で音声メモ
安全な場所に車を停め、Googleカレンダーの該当の予定を開きます。そしてマイクボタンをタップし、次のように話します。
「A様宅を訪問。今日は普段より表情が明るく、デイサービスのNさんとの会話を楽しみにされている様子。まるまる。先日の福祉用具の件は大変満足とのこと。てん。次回、ケアプランの変更についてご意向を伺うこと。まる」
(※「まる」「てん」と言うと「。」「、」が入力される機能もあります)
このようにキーワードだけでも構いません。Googleカレンダーのメモ欄に、この「声のメモ」を残しておくだけで十分です。
事務所に戻ってから – 保存したメモを元にPCで清書して時短
事務所のデスクに着いたら、PCでGoogleカレンダーを開きます。先ほどスマホでメモした内容が、既に同期されているはずです。
- PC上のカレンダーから該当のメモをコピーします。
- お使いの介護ソフトの支援経過記録の項目にペーストします。
- 最後に、誤字脱字の修正、改行、句読点の追加など、誰が読んでも分かりやすいように体裁を整えます。
これだけで、一からキーボードで入力するのに比べて、圧倒的な時間短縮が実現します。
よくある質問(Q&A)
Q. 本当に無料なの?
A. はい、この記事でご紹介しているGoogleカレンダーのアプリや、スマートフォンの基本的な音声入力機能は、すべて無料でご利用いただけます。最初にGoogleアカウントの登録が必要ですが、一度設定してしまえば、その後費用がかかることはありませんのでご安心ください。
Q. 個人情報の取り扱いは大丈夫?セキュリティで気をつけることは?
A. 非常に重要なご質問です。ツールの利便性よりも、利用者様の個人情報保護が絶対的な最優先事項です。音声入力を行う際は、必ず以下の点を徹底してください。
- 周りに人がいない、一人の空間で行う(例:ドアを閉めた車内、施錠できる個室など)。
- 公共の場や、隣の席に人がいるカフェなど、会話が他人に聞こえる可能性のある場所では絶対に行わない。
会社のセキュリティポリシーを必ず確認し、ルールを遵守した上で、安全な環境が確保できる場所でのみ活用してください。
H3: Q. 音声がうまく認識されません。どうしたらいい?
A. 周囲が騒がしい場所や、声が反響しやすい場所では、うまく認識されないことがあります。そんな時は、イヤホンマイクを使うことを強くお勧めします。
高価なワイヤレスイヤホンでなくても、スマートフォンに付属しているような有線のイヤホンで十分です。マイクが口元に近づくため、周囲の雑音を拾いにくくなり、驚くほどクリアに音声を認識してくれます。ぜひお試しください。
最後に
この記事で紹介したGoogleカレンダーと音声入力を組み合わせた効率化の方法は、数あるITツールの中でも、特に「今日から」「誰でも」「手軽に」始められるのが最大の魅力です。難しく考えすぎず、まずは明日のスケジュールを1つ、Googleカレンダーに入れてみることから試してみてください。そして、訪問が終わった後に、一言だけでも音声入力で感想をメモに残してみてください。その小さな一歩が、あなたの働き方を大きく変えるきっかけになるかもしれません。ITツールは、私たちケアマネジャーの仕事を奪うものではなく、むしろ、利用者さん一人ひとりと向き合うという、本来最も大切にしたい時間を増やしてくれる強力な味方です。この記事が、あなたがより自分らしい働き方を見つける手助けとなれば幸いです。
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